景気悪化を示す12月日銀短観、Go To 固執の無為無策だと大不況から恐慌への暗転の恐れ(一時中止追記)
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日銀が12月14日発表した短観=企業短期経済観測調査(https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka2012.pdf)で、大企業製造業の景気判断を示す指数は前回9月調査のマイナス27ポインとからマイナス10ポイントへと17ポインと改善し、2期連続で改善したが、水準は依然としてマイナス10。大企業非製造業も同様にマイナス12ポイントからマイナス5ポイントへと7ポイント2期連続改善したが、やはりマイナス。先行きもともにマイナスが続いている。コロナ第三波の襲来が十分盛り込まれていない可能性があり、政府=菅義偉政権がコロナ禍に対する無為無策とGo To キャンペーンを強行続行する限り、大不況が確実になり、恐慌へと暗転する可能性もある。
【追記:12月15日午前9時30分】菅義偉首相は昨日14日夜、今月28日~来年1月11日まで、全国一律にGo To トラベルを中止すると発表した。東京都と名古屋市は両地着のGo To トラベルの停止はするが、両地発のGo To トラベルは「自粛」要請にとどめる。感染拡大の意思も能力もないことの表れだ。
なお、時間差があるため、今週末までとした「勝負の三週間」は、政府=菅政権の支離滅裂なコロナ禍対策により失敗に終わる可能性が限りなく濃厚になった(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201214/k10012763621000.html)。もっとも、菅首相のGo To トラベル一時中止発表で事実上失敗に終わった。ただし、再開については「12日以降の扱いについては改めて判断する」とし「Go To トラベルに感染拡大のエビデンスはないとの認識に変化はない」とも述べている。Go To キャンペーンを再開する構えは崩していないから、来年に入ってもコロナ禍が危険な状態になることに変わりはない。
東京新聞社が15日午前5時にWebサイトに投稿・公開した「『支持率急落』ようやくGoTo止める 経済重視 なお小出し、政府のコロナ対策」から、Go To キャンペーンのこれまでの経過についての図を引用させていただく。
Go To キャンペーンを再開するか否かは、➀国内感染状況の推移②世論の反応(支持率)ーなどを見て判断することになるだろうが、再開を強行すれば「新規感染のさらなる拡大(医療体制崩壊)と経済の悪化」が両立することになる。「ウィズ・コロナ」の発想を捨て、➀大規模で面的かつ「誰でもどこでも低額または無料で検査を受けられる」PCR検査体制を早急に確立する②感染確認者は保護・隔離し、適切な医療施設で治療し、国民や企業に対して十分な補償措置を行うーなどの抜本的なコロナ禍対策への転換こそが、当面の最大の経済対策になる。
政府=菅政権はひたすら、「コロナ感染防止と経済活動の両立」を念仏のように唱えているが、第三波の襲来とGo To キャンペーンの悪影響で、「コロナ感染拡大と経済活動の悪化」が両立してしまう。12月短観は第三波の襲来とGo To キャンペーンが業績悪化に与える悪影響を十分に織り込んでいないと見られ、来年3月に発表される短観では12月短観の先行き見通しが悪化の方向に暗転する可能性がある。