
サウジアラビアのジッダで11日行われたトランプ政権チームとウクライナ側の交渉チーム(責任者は米国側はルビオ国務長官、ウクライナ側はイェルマーク大統領府長官)との会談で、両国は、30日間のウクライナ戦争停戦協定で合意した。これに対して、ロシアのプーチン大統領は停戦に条件を付けており、米国側から合意内容について正式に報告を受けてから、米国側が提示した停戦案について、受け入れの是非を最終的に判断する模様だ。この米国側の停戦案については、どうも詳細な内容が不明だ。国際情勢アナリストの及川幸久氏の解説によると(https://www.youtube.com/watch?v=2lRqEQXebE8&t=789s)、米国側がウクライナの交渉チームにたたきつけた停戦案には実は、①ゼレンスキー政権の退陣(ネオ・ナチ政権の解体)②ロシアが併合したとしているクリミア半島はもちろん、東南部4州(ルガンスク州、ドネツク州、サポリージャ州、ヘルソン州)を正式にロシアの領土として認める(ロシアに割譲する)ーという内容が含まれているという。当然、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)には加盟しないことを将来にわたって確約する、ことも含まれているだろう。これなら、プーチン大統領は米国が示した停戦協定を受け入れるだろう。この情報が真実であった場合、ゼレンスキー「大統領」と欧州のエスタブリッシュメント・リベラル左派全体主義EU官僚独裁政権は、停戦合意案潰しにかかる。しかし、これは、文明の多極化を進めるトランプ大統領とプーチン大統領にとって、同独裁政権の自壊につながるため、極めて好都合だ。
米国側のウクライナ戦争停戦案の実態
NHKがまとめた米国側の交渉チームとウクライナ側の交渉チームが合意したという「ウクライナ戦争停戦案」の内容は、次のようなものだ(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250312/k10014747121000.html)。
しかし、ウクライナ戦争は広大な領域で行われている。停戦案の内容が不明であることも会って、実際に停戦すると言っても停戦実現は容易ではない。このため、ロシアのプーチン大統領は、停戦には同意するとしながらも、ウクライナ側の侵攻を受け占領されたウクライナと隣接するロシアのクルスク州を事実上、奪還するなど、ウクライナ戦争で圧勝しているロシア側としては簡単に受け入れる訳にはいかない。ゼレンスキー「大統領」の「ネジを巻いている」英国(スターマー政権)の公共放送であるBBCは、「プーチン氏、ウクライナでの停戦に条件を提示 アメリカ案を受け」と題して、次のように報道している(https://www.bbc.com/japanese/articles/c70w1lp1rdqo)。
プーチン氏はモスクワでの記者会見で、ウクライナが11日にアメリカとの協議で合意した30日間の停戦案について、「アイデアは正しい。私たちはそれを支持する。だが、議論が必要な疑問がある」と述べた。プーチン氏はまた、停戦は「持続的な平和をもたらし、この危機の根本原因を取り除く」ものであるべきだと主張。「私たちはアメリカの同僚やパートナーらと交渉する必要がある」、「私がドナルド・トランプ(米大統領)と電話で話すかもしれない」とした。(中略)
プーチン氏、疑問点を列挙
プーチン氏は記者会見で、ウクライナが昨年8月に奇襲してその一部を占領したロシア・クルスク州が、論点の一つになると述べた。クルスク州についてプーチン氏は、ロシアが完全に奪還したと主張。同州にいるウクライナ軍は「孤立している」とし、こう続けた。「相手は撤退しようとしており、私たちが支配している。相手は装備を放棄している」、「クルスクにいるウクライナ人には二つの選択肢がある。降伏か死だ」プーチン氏はまた、停戦がどう機能するかについて、「その30日間はどう使われるのか? ウクライナによる動員のためか? 再武装のためか? 人の訓練のためか? そうしたことは一切ないのか? そして疑問なのは、それがどうコントロールされるのかだ」と疑問点を挙げた。さらに、「誰が戦闘を終わらせる命令を出すのか? どれだけの代償で出すのか? 停戦になったとして、2000キロメートル以上に渡る地帯で停戦が破られたかどうかを誰が判断するのか? こうした疑問はすべて、双方による綿密な作業が必要だ。誰がそれを取り仕切るのか?」と述べた。
プーチン大統領は停戦ではなく、終戦を求めておりその条件として、①ウクライナのネオ・ナチ政権の解体②過去に併合したクリミア半島はもちろん、今回のウクライナ戦争で併合した東南部4州(ルガンスク州、ドネツク州、サポリージャ州、ヘルソン州)を正式にロシアの領土として承認すること③ウクライナ側が未来永劫、NATO加盟をしないことを確約することーは譲れないと主張してきた。
クルスク州の奪還を始めとして、ロシアはウクライナに対して圧勝している現在、プーチン大統領が提示した条件をウクライナ側が受け入れなければ、プーチン政権が停戦に応じることはない。善悪はさておいて、戦争で圧勝している国が敗北している国に対して、事実上、「無条件降伏」するわけにはいかない。トランプ大統領もこの辺りのことは熟知しているはずではないのか。なお、米国はウクライナに対して軍事情報の提供や軍事支援、ロシアの銀行に対する制裁強化を再開したと伝えられているが、これらは、BRICS諸国の支援を受けているロシアにとって、致命的なものではない。むしろ、非米側陣営の結束を固める、米国が抜けようとしている米側陣営の経済破綻を招くだけだ。
国債の大増発による軍事力の大幅増強は、生産財・投資剤・消費財を破壊する消費財でしかない軍事兵器の大量増産によらねばないため、結局のところ、経済の供給力を毀損し、供給力不足によるコストプッシュ・インフレを招いてしまうだろう。
さて、こうした中で、幸福実現党出身で参政党を支援している及川氏は、今回の米国の停戦案にはプーチン大統領の終戦条件が事実上含まれるとしている(https://www.youtube.com/watch?v=2lRqEQXebE8&t=789s)。下記のキャプチャ図のとおりである。
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情報源はNBCなどすべて、米国のオールド・メディアによるものと思われる。これらの内容が、米国が示した提案に含まれているとすれば、ウクライナ政権の内部で、権力闘争が行われているということになる。また、停戦すればウクライナは大統領選挙を実施しなければならなくなるから、イェルマーク大統領府長官やウクライナ国民の人気の高いザルジニー前ウクライナ軍総司令官(英国大使に左遷)らが、ゼレンスキー「大統領」の返り咲きを阻止することになる。
そして、プーチン大統領は提案に応じることになるだろう。そして、ゼレンスキー「大統領」と同氏を支援している欧州エスタブリッシュメント・リベラル左派全体主義独裁政権は、合意案の潰しにかかることになる。今後の停戦案・和平案の内容の展開については、プーチン大統領と会っているウィトコフ中東特使とプーチン大統領の会談、そして、トランプ大統領とプーチン大統領との直接会談によって、最終的に明らかになる。
ゼレンスキー「大統領」と同氏を支援している欧州エスタブリッシュメント・リベラル左派全体主義EU官僚独裁政権は、合意案の潰しにかかることになることは明らかだが、これについて、国際情勢解説者の田中宇氏は昨日13日に投稿・公開した「ウクライナ停戦とその後」で、次のように述べている。
米露がウクライナを停戦和平したうえで欧州に破壊させるシナリオは、トランプとプーチンの両方にとって都合が良い。トランプは、選挙公約だったウクライナ停戦を果たしたのに欧州に潰されたと言える。トランプは、停戦を潰した欧州やウクライナに激怒して軍事協力をまた止め、NATOも相手にしなくなり、欧州の輸出品に高関税をかけて経済的にも縁を切る。米国は、米英覇権を牛耳ってきた欧州の英国系を自滅に追い込んで拘束から解放され、ロシアや中国とよろしくやって多極化を推進する。(China, Russia, Iran To Hold Nuclear Talks In Beijing After Tehran Snubbed Trump Offer)
これまで米国には「軍産複合体」が取り憑いていた。イーロン・マスクのDOGEが軍産の不透明な政府支出のシステムを破壊している。軍産はトランプに不満だ。イスラエルなど中東も、これまでは軍事のかたまりだったが、トランプやプーチンの協力で中東の諸問題がイスラエルに都合良く解決していくと、軍産は中東で儲けられなくなる。軍産の不満に対し、トランプは「これから欧州が猛然と軍備拡大してロシアと戦争し続ける。欧州に行け」と言える。軍産は欧州に取り憑き、高福祉社会の財政を食い荒らして浪費して自滅させる。欧州が団結して本気で戦うとロシアより強い。だが欧州は、これまでのウクライナでの米国主導の稚拙な戦い方を継承するので、無駄に負け続ける。(Ukraine 'Losing Its Trump Card' As Key Kursk Town Liberated By Russian Troops)
バイデン政権はウクライナ戦争を長期化しており、プーチンにとって好都合だった。だがトランプは、ウクライナを停戦すると公約して当選した。プーチンは当初、トランプを警戒していた。(トランプが本気で停戦に動いた場合を考えて昨夏、ウクライナ軍のクルスク侵攻を誘発した)だがプーチンは今年1月、就任後のトランプを高く評価し始めた。トランプのウクライナ停戦が停戦にならないとわかったからだろう。最近、プーチンの周辺から「トランプを信用すべきでない」という見方が出ている。トランプとプーチンは、裏で仲良くし続け、中東など世界の諸問題を解決していくが、表向きは「米欧ウクライナがロシアと戦っている。米国はロシアの敵だ」という構図も残す。その方が、共通の敵である英国系(欧英)を思い切り自滅させられる。(Sergey Karaganov: Russia must not fall into Trump’s ‘honey trap’)
ロシア、特に東部ロシアのシベリアと極東は、石油や天然ガス、レアメタルなど現在及び将来にわたる基幹産業に不可欠な天然資源の宝庫である。GoogleのAI検索によると、埋蔵天然資源は次のような内容と見られる。
※シベリア・極東の地図(https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/p153-167.pdf)より
NATOは冷戦の遺物である。これにこだわるのが、大英帝国のノスタルジアを忘れることの出来ない英国である。NATOによって、反ロシアに凝り固まった欧州エスタブリッシュメント・リベラル左派EU独裁政権はもはや、御用済みである。欧州は右派中心の政権が樹立され、新たな欧州文明を築くときであろう。ユーラシア大陸東部は、スターリン主義によってボロボロにされてしまったロシアを再興し、市場原理を導入したロシア文明圏として再生・復活することになるだろう。
筆者がロシアを訪れた1990年3月は、ソ連がペレストロイカを推進しているときで、偶然、ゴルバチョフ書記長が、大統領に選出された瞬間をテレビで見た。この時に、紙に電卓の絵を書いたものが、ソ連の子供たちの電卓のおもちゃとして販売されているのを目の当たりにして、ソ連の民生経済の水準を目の当たりにした。ゴルバチョフ大統領の失脚の後、ロシアを導いたのはエリツィン大統領だったが、その当時は「市場経済」の導入の名の下に、オリガルヒが国有財産を私物化し、ロシア経済は最悪の状況だった。エリツィン大統領も手に負えず、ロシアの再生をまかせたのが、サンクト・ペテルブルク(旧レニングラード、非常に美しい街)出身で、ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン氏であった。
シベリアに眠る豊富な天然資源の開発は、ロシアが中心になり、米国と極東諸国の企業が手助けをすればよい。そして、新たな欧州文明諸国も参加して、その恩恵を共同で分かち合えばよい。それは、ゴルバチョフ書記長・大統領が構想した「欧州の家」構想につながる。これからは、「文明の衝突」ではなく、「文明の融和・統合」の時代に入るようになる、というのがサイト管理者(筆者)の大きな予想である。
ウィトコフ中東特使、ロシア離れ米国トランプ政権のもとへープーチン大統領との会談は非公開
時事通信によると、ロシアを訪問し、米国側が提示したウクライナ戦争の停戦案についてプーチン大統領に非公開で詳細を伝えたウィトコフ中東特使は、会談を終えるとロシアから米国に向かった(https://news.yahoo.co.jp/articles/095e1dfbf1d3ebd5d783d8207fdbeaeb7c0c954f)。
ロシア国営メディアによると、同国を訪問したウィトコフ米中東担当特使が14日未明、モスクワを出発した。ビジネスジェット機で13日午後に到着し、約13時間滞在した。プーチン大統領とのクレムリン(大統領府)での会談は非公開とされた。
ウィトコフ中東特使=時事通信による プーチン氏は13日の記者会見で、ウクライナが米国との協議で受け入れた30日間の停戦案について、即時受諾に難色を示した。ウィトコフ氏との間で停戦案を巡り、突っ込んだやりとりがあったかは不明。
ただし、NHKの続報によると、米国のウクライナ戦争調停案には公開されていない内容があり、ウィトコフ中東特使はプーチン大統領と会談した際、その内容も含めてプーチン大統領に調停案の詳細について伝達。これに対して、プーチン大統領は追加の情報を加えて実質的な逆提案を行ったのことである。ロシアのペスコフ報道官は近日中に、トランプ大統領とプーチン大統領との間で、何らかの形で首脳会談が行われるとしている(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250314/k10014750231000.html)。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は14日、報道陣に対し、プーチン大統領がウィトコフ特使と13日夜、会談したと明らかにしました。会談では、ウクライナ情勢をめぐるアメリカの停戦案について意見が交わされたとみられ、ペスコフ報道官は「ウィトコフ特使はロシア側に追加の情報を提供した。プーチン大統領はトランプ大統領への追加のメッセージを託した」と述べました。
ロシア大統領府のペスコフ報道官=NHKより また、プーチン大統領とトランプ大統領の協議について「ウィトコフ特使がモスクワで受け取ったすべての情報をトランプ大統領に伝えたあと日程を決める」と述べ、今後、両首脳による協議の実現に向けて調整する考えを示しています。
さらに、ロイター通信は「トランプ氏『紛争終結の可能性高い』、ロシアにウクライナ兵救命を要請」と題して、次のような報道を世界に流した。
トランプ米大統領は14日、ソーシャルメディアへの投稿で、ロシアのプーチン大統領と(注:ウィトコフ中東特使が)13日に「有意義で生産的な協議」を行ったとし、ロシアとウクライナの紛争が終結する「可能性が非常に高い」と述べた。トランプ氏自身がプーチン大統領と対話したかについては言及しておらず、ホワイトハウスによると、プーチン氏と会談したのは米政権のウィトコフ中東担当特使で、トランプ大統領は直接対話していない。トランプ大統領=ロイター通信より トランプ氏は投稿で、(注:ウクライナに隣接するロシア西部クルスク州に侵攻したウクライナ軍のうち)数千人(注:1万人とも伝えられる)のウクライナ軍兵士がロシア軍に完全に包囲されており、(注:ウクライナ軍の兵士が降伏しなければ)第2次大戦以来の恐ろしい虐殺となるとし、「ウクライナ兵士の命を救うようプーチン大統領に強く要請した」と述べた。プーチン大統領は14日、ロシア西部クルスク州で越境攻撃(注:ロシアに対する侵攻攻撃)を仕掛けているウクライナ軍が降伏すれば、ロシアは同軍の安全を保証すると言明。トランプ氏の要請を念頭に置いた発言とみられる。
ロシアのクルスク州の要衝「スジャ」はウクライナ軍が占領したが、ロシア軍が奪還していると見られる。CNNは、「ロシア、クルスク州の要衝スジャ奪還 ウクライナ占領地全域をまもなく解放か」と題して、次のように報道している(https://www.cnn.co.jp/world/35230497.html)。
ロシア国防省は13日、同国西部クルスク州でウクライナ軍が占領していた最大の町スジャを奪還したと明らかにした。ロシア軍は他にも二つの集落を解放したという。停戦への圧力が強まるなか、ロシアはウクライナが持つ領土面での「唯一の交渉材料」を脅かしている。(注:好戦的なネオコン系の)米国シンクタンク戦争研究所(ISW)も現地の映像をもとに、ロシア軍がスジャを押さえ、スジャの北西にある集落まで前進したとの見解を示した。
人口5000人ほどの小さな町ではあるものの、スジャはウクライナが保持していた数少ない拠点の一つであり、奪還はロシア側にとって大きな勝利を象徴するものになるとみられる。情報筋によると、ウィトコフ米特使が13日にモスクワ入りしている。ウィトコフ氏は、ウクライナがすでに受け入れた30日間の停戦案について、ロシア側に説明する見通し。この停戦案は前線の全域を対象としている。ロシアのペスコフ大統領報道官は同日、定例会見で、クルスク州でウクライナが保持しているすべての地域についてまもなく解放されるとの見方を示した。
笹川平和記念財団によると、スジャを含めたクルスク州周辺の地図は次の通りだ(https://www.spf.org/spf-china-observer/eisei/eisei-detail011.html)。
スジャは天然ガスの中継地点であるとともに、兵器など軍事関連の物資の補給路の要衝になっている。「ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始してから、8月24日で2年半を迎えた。戦況が膠着する中、ウクライナ軍が8月上旬、ロシア領土への越境攻撃を開始し、戦争は新たな局面に入った。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア・クルスク州の90を超える集落と、東京都の面積の半分超に相当する1,250平方キロメートルを支配下に置いたと発表している。欧州に天然ガスを送るための中継地点があり、ロシアにとって重要拠点の一つであるスジャを支配下に置いたほか、ロシア軍の補給を妨害するため、同州にあるセイム川の主要な橋をすべて破壊した」(同)経緯がある。
これには、ウクライナ東部の精鋭軍を使ってクルスク州に侵攻・制圧し、ロシア側との交渉などでウクライナのゼレンスキー政権の立場を強める目的があったとされる。しかし、①ウクライナ東部でのロシア軍の大攻勢を受けるきっかけになった②クルスク州を事実上失ったことで、交渉上の優位性も失ったーなど、ゼレンスキー政権の大失態である。だから、ゼレンスキー政権は認めようとしない。なお、プーチン大統領は、停戦・終戦交渉に入る前の条件として、ウクライナ側にクルスク州からの撤退・返還を要求していたが、ウクライナ側が受け入れないため、使用されていない天然ガスのパイプラインをロシア軍が秘密裏に通過してウクライナ軍の後方に回るという奇襲作戦を遂行、ウクライナ軍を混乱させるなど、軍事力で強制奪還したと見られる。
今後、クルスク州は完全に奪還され、プーチン大統領が停戦・終戦に向けての交渉に入る条件がひとつ、整ったと見られる。なお、ウクライナの最高会議(議会)が定めた法律では、ゼレンスキー「大統領」に、プーチン大統領との交渉を禁じる大統領令第679号が発布されている(https://www.youtube.com/watch?v=9V9ddShdwYM)。ロシアのプーチン政権側は、この大統領令を取り下げるようゼレンスキー政権に要求しているが、同政権側は未だにロシア側の要求に応じていないと言う。


なお、国際情勢アナリストの及川幸久氏は「トランプのウクライナ停戦案にプーチンが逆提案」と題して、Youtube動画を新たに配信された(https://www.youtube.com/watch?v=zB8w4X1N2JA&t=1078s)。サイト管理者(筆者)にとって、重要な箇所をキャプチャさせていただく。この動画は、プーチン大統領がモスクワを訪問したベラルーシのルカチェンコ大統領と合意文書(ウクライナ紛争という文脈の中での北大西洋条約機構=NATO=の行動は、核紛争のリスクをはらんでいるとする、という内容)を締結したあとの記者会見で、記者団からの質問に答えて原稿なしに、プーチン大統領が表明したものだ。
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ウクライナ戦争の停戦・終戦に、プーチン大統領はウォール・ストリート・ジャーナルが報道するような拒否はしていない。プーチン大統領は、①停戦を現実的に実現するための細かい協議が必要②ウクライナ戦争の根本原因を除去することが不可欠(終戦に至らない停戦は、ウクライナとNATOの軍事力を強化するための時間稼ぎに他ならない)ーとして、トランプ大統領と米国が提案した停戦合意内容を練り直したいと語っている。その過程は既に始まっているのではないか。
ただし、田中氏の言うように、ゼレンスキー「大統領」と欧州エスタブリッシュメント・リベラル左派全体主義官僚独裁政権はこの動きを止めようとして必死になる可能性が強い。その場合は、田中氏が指摘するように、これらの勢力は自滅するだろう。それは、多極化文明の時代を望むトランプ大統領とプーチン大統領にとって、願ったり叶ったりだ。ウクライナ戦争にかかわらず、今後は文明の多極化時代を実現しようとする宗教・政治・経済的なさまざまな勢力によって、国際情勢の動きが展開するだろう。トランプ大統領とプーチン大統領がその重要な主役であることは間違いない。